第1章 WINシステムのインストール

第1章 WINシステムのインストール

WINシステムホームページ
https://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/WIN/

概要

ここではWINシステムのインストール方法について記す.

一連の流れを簡潔にまとめると以下のようになる.

事前準備

sudo apt update 
sudo apt install tk libmosquitto-dev gawk build-essential libx11-dev libtool build-essential gfortran 

WINのダウンロードとインストール

ダウンロード

cd /usr/local
sudo wget https://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/WIN/pub/win/WIN_pkg-3.0.11.tar.gz
tar -xzvf WIN_pkg-3.0.11.tar.gz

コンパイル

cd WIN_pkg-3.0.11
sudo ./configure --prefix=/usr/local/win
sudo make
sudo make install

うまくいかない場合は先にGUI環境の準備を行ってからやり直してみる.

パスを通す

「.bashrc」に以下の行を書き加える.

export PATH="$PATH":/usr/local/win/bin

ターミナルに戻り以下を実行.

source ~/.bashrc

GUI環境の準備

sudo apt install xserver-xorg x11-utils xterm x11-apps

Windowsの場合はVcXsrvのインストールと設定が必要.

以下でそれぞれについて詳しく記す.

事前準備

あらかじめ必要なパッケージをインストールしておく.

sudo apt update 
sudo apt install tk libmosquitto-dev gawk build-essential libx11-dev libtool build-essential gfortran 

他にも必要なパッケージがあるかもしれない. 要確認.

WINのダウンロードとインストール

上記のサイトの中からダウンロードするバージョンを選ぶことができる.

Ubuntuでは以下のようにしてダウンロードできる. ダウンロードを行う場所は/usr/localとすることが多いようだが, 他の場所でも良い.

cd /usr/local
sudo wget https://wwweic.eri.u-tokyo.ac.jp/WIN/pub/win/WIN_pkg-3.0.11.tar.gz
tar -xzvf WIN_pkg-3.0.11.tar.gz

なお上記のwgetのあとのurlは,ダウンロードページから 目的のバージョンのリンクをコピーして貼り付けると良い.

tar -xzvfのあとのファイル名はダウンロードしたファイル名に合わせること.

展開したディレクトリの中にあるREADMEの手順に従って, WINシステムを構成するプログラムのコンパイルを行う.

cd WIN_pkg-3.0.11
sudo ./configure --prefix=/usr/local/win
sudo make
sudo make install

あとはパスを通せばどこからでもwinのコマンドを使える.

パスの通し方

コンパイルしてできたWIN関連の実行ファイル群は /usr/local/win/binにある. ターミナルでどこからでもこのディレクトリにある コマンドを実行できるようにするためには, 「パスを通す」必要がある.

LinuxやWindowsのWSLの場合は, ホームディレクトリ(「cd ~」で移動できる)にある 「.bashrc」に以下の行を書き加えればばよい.

export PATH="$PATH":/usr/local/win/bin

ただし「/usr/local/win/bin」の部分は, 他のディレクトリにWINの実行ファイルがある場合は そのディレクトリに読み替えること.

この記述を追加した後はターミナルを再起動するか, 以下のコマンドを実行することでパスが通る.

source ~/.bashrc

これで試しに「win」とコマンドを打ってみて,

***  win  (2015.12.15(+Hi-net))  ***
WIN_pkg package Version 3.0.11 [64-bit]
Default output 4 byte sample size : 4
parameter file 'win.prm' not found

のように表示されれば正しくできている.

一方でパスが通っていない場合はつぎのように表示される.

win: command not found

GUI環境の準備

winコマンドではGUIを使って波形を読み取ることができる. そのためにはX Window Systemなどの準備が必要になる.

X Window Systemのインストール

sudo apt install xserver-xorg x11-utils xterm x11-apps

x11-appsは動作確認用に入れておくと良い. これで試しに「xeyes」などのコマンドを実行してみて, ウィンドウが表示されればGUIの設定は成功である.

ただしWindowsの場合は,テストの前に次節の作業が追加で必要になる.

winのテストは,ダウンロードしたディレクトリの中にあるサンプルファイルを使って行う.

cd /usr/local/WIN_pkg-3.0.11/etc
win 991109.064607

Windowsでの追加作業

WindowsのWSLでUbuntuを動かしている場合は, GUIを利用するにあたり Xサーバーを立ち上げるソフトが必要である.

VcXsrvのインストール

以下のリンクではVcXsrvをインストールする.

VcXsrvのダウンロードページ:
https://sourceforge.net/projects/vcxsrv/

ダウンロードページ(図*※相互参照無効*)の 「Download」をクリックする.

VcXsrvのダウンロードページ

VcXsrvのダウンロードページ

ダウンロードされるインストーラを実行し, 指示に従ってインストールする. 特別な設定は不要なので,インストール先などにこだわりがなければ 「Next」で進めて最後に「Install」をクリックするだけで良い.

VcXsrvの設定

インストールが終わったらスタートメニューに XLaunch(図*※相互参照無効*)があるので起動する.

XLaunch

XLaunch

起動した画面から以下のように設定して進める.

「Multiple windows」を選択.

1ページ目

1ページ目

「Start no client」

2ページ目

2ページ目

追加設定

一番下の欄に-acを追加する.うまくいかない場合は「Disable access control」にもチェックを入れる.

3ページ目

3ページ目

設定の保存

4ページ目は設定を保存するかどうかの確認画面. 毎回手動でXLaunchを開く場合はこのまま「完了」を選択して終了する.
使用頻度が高い場合は,設定を保存しておくと次回から楽になる. 設定の保存は「Save configuration」を選択し,保存先を指定して「Save」をクリックする.

4ページ目

4ページ目

自動起動設定(設定を保存した場合のみ)

毎回自動でVcXsrcを起動するために「スタートアップ」に登録する.
「Win+r」を押すと「ファイル名を指定して実行」が開くので,

shell:startup

と入力して「OK」をクリックする. 開いたフォルダに,先ほど保存したxlaunchの設定ファイル (例: config.xlaunch)のショートカットを作成する.

.bashrcの設定

WINDOWIDの設定を行う. WSL(Ubuntu)のホームディレクトリにある 「.bashrc」を開き,以下の記述を追加する.

export DISPLAY=$(cat /etc/resolv.conf | grep nameserver | awk '{print $2}'):0
export WINDOWID=':0'

その後ターミナルを再起動するか,「source ~/.basrhc」を実行する. ここで「xeyes」を実行してウインドウが表示されれば成功.

次にwinについてはデフォルトのターミナルではなく,xtermを使う必要がある. まずターミナル上で「xterm」と入力して実行.

xterm

xtermのウィンドウが出てきたら,以下のコマンドを実行する.

cd /usr/local/WIN_pkg-3.0.11/etc
win 991109.064607

これでウィンドウが表示されれば成功.

デフォルトのターミナルでもwinの画面は開いて一見問題ないが, WINDOWIDを使う動作が伴った際(「HYPO」を押したときなど) にエラーが生じて強制終了してしまう.

WINをデフォルトのターミナルから使用するには

xtermのターミナルはデフォルトのターミナルと比べると画面が見づらく, 普段の作業には向かない. しかしwinを使用する際にわざわざxtermを使うのも面倒である.

そこでデフォルトのターミナルからwinをすぐに使うために, 次のようなbashスクリプトを作成すると便利である.

#!/bin/bash
xterm -e "cd $(pwd); win $@"

このファイルをxwin.shなどとして保存する.

そして次のようにしてパスの通った場所にリンクを作成すると どこからでも使用できるようになる.

cd /usr/local/bin
sudo ln -s <xwin.shがあるディレクトリ/xwin.sh> xwin

これで「xwin <winファイル名>」と入力するだけで デフォルトのターミナルから 自動でxtermを立ち上げてwinを実行できる.